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米国政府が推進する、消費者のためのオープンガバメント・イニシアティブ ”Smart Disclosure”

smart disclosure

 

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以前、英国政府による民間企業保有のパーソナルデータの公開・活用を推進するプロジェクト“midata”の記事を書きました。このパーソナルデータ公開・活用を推進する動きは、オープンガバメントの再先進国である米国でも存在しており、それは”Smart Disclosure”という言葉で米国政府から発表されています。

2011年9月に設立され、2013年1月現在で58カ国が加盟するOpen Govermnent Partnership (OGP) では、加盟国は自国のオープンガバメントに関するアクションプランを策定し公開しなければなりません。米国が公開したアクションプランの一部に”Smart Disclosure”という言葉が初めて登場しました。

このSmart Disclosureは、英国のmidataより広範囲にフォーカスを当てた取り組みとなっており、民間企業保有のパーソナルデータ(トランザクションデータ)に限らず、公的機関保有のパーソナルデータや民間企業が提供する製品・サービスの詳細情報まで含まれます。要するに、消費者がより良い選択ができるようになるために必要なデータが対象になっています。

Smart Disclosureは以下の4つのカテゴリーに分類されており、これらのデータを活用したサービスを米国政府は”Choice Engine”と呼んでいます。

  • 政府による、製品やサービスに関するデータの公開
    Department of Health and Human Services (保健社会福祉省) はMedicare.govにて病院の評価を公開。Department of Education (教育省) はCollege Navigatorで学生向けに7,000以上の教育機関情報を公開。
  • 政府による、国民へのパーソナルデータの公開
    Department of Veterans Affairs(退役軍人省)は、退役軍人が各々の医療記録をダウンロードできるサービスBlue Buttonを提供。
  • 民間企業による、製品やサービスに関するデータの公開
    BillShrinkHello Walletなどのサービスに利用され、各サービス情報と個人利用状況から最適なプランやクレジットカードなどをレコメンドしてくれる。
  • 民間企業による、国民へのパーソナルデータの公開
    電気やガスなどのエネルギー関連企業が参加しているGreen  Buttonは、個人がエネルギー使用情報をダウンロードでき、OpenEIで公開されているアプリケーションを利用して分析することができる。また、各クレジット会社や銀行がトランザクションデータにアクセス可能にし、MintなどのPersonal Finance Management (PFM)に利用されている。

 

世界経済フォーラム (World Economic Forum) でも“Rethinking Personal Data”というプロジェクトで2010年からパーソナルデータについて議論されており、2011年1月にはパーソナルデータについて「新たな資産カテゴリーの出現」と題したレポートを発表しています。

その後、midataやSmart Disclosureのように国としてパーソナルデータの公開・活用を推進する動きが起こりましたが、2013年は更にこの動きが活発になり、徐々に国民にも知れ渡って行くフェーズに移ると考えています。

Smarter Information, Smarter Consumers

Harverd Business Reviewでは先日、“Smarter Information, Smarter Consumers”と題した長編の特集記事を公開し、Smart Disclosureによってどのように消費者の生活が変わるのかを詳細に説明しています。

主題の下に書かれているメッセージが、その期待度を伺わせます。

Changes in technology and disclosure rules will help shoppers make better decisions. Get ready for the rise of the “choice engine.” 

そして、O’Reilly Mediaでオープンガバメントを担当するAlex Howard氏が書いた“14 big trends to watch in 2013”の中でもパーソナルデータに関する記述が随所で出てきており、2013年は米国においてオープンデータのフォーカスが公共データから民間データに推移していくのではないでしょうか。

総務省主導で行われている「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」では、まだパーソナルデータを個人に戻す活用についてはほとんど触れられていません。しかし、7月の取りまとめまであと半年ありますので、個人情報保護やセキュリティの課題をクリアしながら、公共データのオープン化と共にアクションプランに落とし、是非ともOpen Government Partnershipへの加盟を検討してほしいです。

Twitter、個人の全ツイートがダウンロード可能に。その背景とティム・バーナーズ=リー氏が描くオープンデータとパーソナルデータの未来。

open-twitter

 

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今日各メディアから「Twitterがユーザー個人の全ツイートデータをダウンロードの受付を開始した」といったようなニュースが大々的に報じられています。しかし、この公開にはただ単にFacebookやGoogleが公開しているからという単純な話ではありません。それではどのような背景があるのでしょうか。

 

2009年のTEDにて、World Wide Webの生みの親であるティム・バーナーズ=リー氏が以下の言葉を声高に叫んだのはとても衝撃的でした。

Raw Data Now! (生のデータを、今すぐに!)
[下動画の10分以降]

政府が公共データをオープンにすれば、そして企業が個人に紐づくパーソナルデータをオープンにすれば、Linked Dataとマッシュアップによって、様々な可能性が生まれるという主張をしました。政府や企業はデータベースの囲い込み(database hagging)を行い、そのデータを独占して活用してきていることへの批判でした。

 

そして翌年の2010年、ティム・バーナーズ=リー氏は再度TEDにて登壇し、徐々に出始めていたオープンデータ活用事例を紹介し、その可能性の一片を私達に示してくれました。

このように、この民間企業が保有するパーソナルデータの公開が行われ始めた背景には、ティム・バーナーズ=リー氏の貢献度がとてつもなく大きいのです。

2012年4月に行われた英Guardianとのインタビューでも、FacebookやGoogleなどからデータを取り戻せ(get it back)と言っており、『オープンインターネット』(インンターネットはオープンであるべき)を提唱し、まずはネット業界からのパーソナルデータ公開を訴えていました。(Wired日本版の記事はこちら

ティム・バーナーズ=リー氏は、もちろんオープンデータの推進にも力を入れており、今月7日に正式にローンチした英国政府機関でオープンデータビジネスを推進するOpen Data Institute(ODI)の創設者の一人でもあります。オープンデータの公開度を5段階に定めたのも彼です。

 

もう一つ関連することで、Techchrunchに「ダウンロード可能となるTwitter全発言データの使い方 ― パーティーはこれからだ!」という記事が書かれました。

今後続々と出てくるであろうこのTwitterなどのパーソナルデータを活用するサービスが、まさしく、前回の記事にも出てきたDoc Searls氏が提唱する”4th Party”なのです。

恐らく、Twitterデータだけではそれほど斬新なアイデアは出てこないでしょう。しかし、ここに例えば”個人の購買データ”が紐付けることができればどうでしょうか。

先述のODIが先月開催した、パーソナルデータ活用ハッカソンであるmidata Hackathon 2012の中では、ソーシャルメディアデータと購買データを紐付けた分析事例が発表され、どのような購買行動を起こした時にソーシャルメディア上での感情がポジティブになるかという分析がされました。(とある方のデータでは、20ポンド以上のモイスチャークリームもしくは自動車用のガジェットを購入した時、という結果が出たそうです。)

確実に個人個人で感情がポジティブに働く行動は異なるでしょう。しかしながらこれまでCRM分析の中では、個人個人は収集・分析されて抽出された多数のセグメントの一つに分類され、レコメンドやプロモーションを一方的に受けている状態になっています。

まずはネット企業からパーソナルデータが始まっていますが、今後何年かかるかわかりませんが、徐々に英国と同じようにインフラ企業やクレジット企業などから公開されて来るのではないでしょうか。まずは海外でのネット企業以外からいつ・どのような事例が出てくるのかに注目です。

企業主導で顧客との関係構築する時代は終焉へ向かう!? CRMと対極をなすVRMの登場と、個人にデータ流通権限を付与するPDS(Personal Data Store)とは

Perosnal Data

 

Perosnal Data

前回投稿のパーソナルデータに関する記事は多くの方に読んでいただくことができました。今回はパーソナルデータの続編として更に踏み込み、前記事では紹介出来なかった消費者主導でCRMと反対の概念であるVRM(Vendor Relationship Management)と、それを実現するためにパーソナルデータの流通を個人がコントロールできるツールのPDS(Personal Data Store)についてご紹介します。

11月29日、日本経済新聞に「民間の個人情報売買解禁へ 政府、新事業創出を後押し」という記事が掲載されました。企業が保有するパーソナルデータを”匿名化”した上で(個人情報ではなくなり)売買することができるというルール作りを来年度以降行い、個人情報保護法の改正を行う、というインパクトの大きい記事でした。

実際にはこの記事は誤報で、ガイドライン策定(ルール作り)は行うが、法改正については検討にも至っていないとのことでしたが。

何にせよ、経済界にとっては大きな期待があると思いますが、この企業間でのパーソナルデータの売買には、個人情報保護やセキュリティの観点とは別に2つのデメリットがあります。

一つ目は”パーソナルデータの流通制御が出来ない”ことです。匿名化されているとはいえ、自分のデータがどこに流れどのように活用されているか見えないことは大きな不安になるでしょう。個人は、各々のパーソナルデータの流通(どのデータをどの第三者に提供するか)をコントロールすることができません。

二つ目のデメリットは、”ユニークIDで複数データソースの紐付けが出来ない”ことです。企業間でパーソナルデータを売買するということは、それぞれの企業が管理しているIDが個人識別コードとなるので、個人がOpenIDで対応した複数サービスを利用していない限り、それぞれの企業のデータを紐づけることが出来ないのです。

上記二つのデメリットですが、海外では既に解消するための動きが存在します。そのキーワードになるのが、最初に提示した”VRM”と”PDS”です。

“VRM(Vendor Relationship Management)”とは?

CRMやSocial CRMは既に一般的な言葉ですが、VRMという言葉はこれまで聞いたことがない人がほとんでしょう。もしかすると、TechChrunchを読まれている方であればご記憶にあるかもしれません。

オープンソース擁護者でジャーナリストのDoc Searls氏が執筆し今年5月に発売された”The Intention Economy”に関する記事の「あのDoc Searlsが「注意の経済」から「意思の経済」への大転換を説く」です。

Attention EconomyからIntention Economyへの転換とは、これまで売り手側がビッグデータを解析して顧客の心理や行動を推定し、一方的に広告やプロモーションで買い手に注意を引き起こす経済から、買い手が個々のパーソナルデータ(=スモールデータ)の流通を管理し、買い手が中心となって売り手との関係を構築する経済に移行していく、ということです。

その買い手が主導で、売り手との関係構築を実現するのが”VRM”と呼ばれるものです。

CRM-VRM

Doc Searls氏は自身が中心となり、2006年にハーバード大学院のthe Berkman Center for Internet & SocietyでProjectVRMというプロジェクトを開始しており、6年経った今年、満を持しての出版となっています。ブログはこちら

CRM、Social CRM、VRMの違いについてはGartner Customer 360 Summit 2010で発表された4象限の図が分かりやすいかもしれません。

Gartner_Customer_360_Summit_2010

VRMを実現するツール”PDS(Personal Data Store)”とは?

ProjectVRMと同じように、消費者個人がパーソナルデータをコントロールできるようにという考えから、2010年に設立されたのがPersonal Data Ecosystem Consortiumです。

このコンソーシアムには、世界中からPDS(Personal Data Store)サービスを提供する30以上ものスタートアップが参加しており、この中には前回の記事にも登場した英国のmidataプロジェクトに参画しているMydexも含まれています。他に良く目にする名前としてはpersonalKynetxSinglyでしょうか。

これらのPDSを提供する組織・人のことを、Doc Searls氏は著書の中で”4th Party”と呼んでいます。サードパーティという言葉は良く聞くと思いますが、この第4者団体とはどういう立場なのかを説明しているのがこちらの記事です。要するに、3rd Partyは消費者から見るとベンダー側の立場であり、4th Partyは消費者側に立った団体となります。

それでは、PDSとはどういうツールなのか?という話に入っていきます。

実は4th Partyが提供するツールのことはPersonal Data Storeだけでなく、Personal Dataに続く単語がServiceやVault、Locker、Cloudなど多く存在していますが、恐らく最も利用されている言葉がStoreなので、とりあえずはPersonal Data Storeとしてこの記事では紹介しています。

この記事の最初の方で、企業間(B2B)でのパーソナルデータの売買には2つのデメリットがあると指摘しました。”パーソナルデータの流通制御が出来ない”ことと、”ユニークIDで複数データソースの紐付けが出来ない”ことです。これらを解決するのがPDSです。

システム的・技術的なことを抜きに、とてつもなく簡単に説明すると下図のようになります。

PDS

現状では、企業間で匿名化されたパーソナルデータが勝手に売買や提供がなされるため、消費者は自分のデータがどこに渡ってどのように使われているのかを知ることはできません。

しかしながら、企業間に消費者とPDSが入ることによって、企業が保有するパーソナルデータがまずは個人に戻され、それらを分析できることはもちろんですが、そこから更に提供したいVendorとそこにどのデータを提供するのかをコントロール(アクセス権の付与)することができるようになります。もちろんそれらは個人IDで紐付けがされているため、B2Bでの2つのデメリットを解消することができます。

更にPDSの機能の一つに、パーソナルデータを個人間(P2P)でシェアするPDX(Personal Data Exchange)というものもありますが、それはまた別の機会に。

今後、PDSの市場はどのようになっていくのか

上記に出てきたPDSのスタートアップの一つであるMydexの設立者であるWilliam Heath氏は、パーソナルデータに関するコンサルティングとマーケティング会社であるCtrl-Shiftの設立者でもあります。

そのCtrl-Shift社が2012年4月に、英国におけるPDSの市場調査レポートを発表しました。そのレポートによると、2016年には10億ポンドまで成長するのではと書かれています。

PDS市場が成長するためのキーとなるのが、「consumers(消費者)」「corporates(組織)」「entrepreneurs(起業家)」「technology(テクノロジー)」「legislation(法律)」の5つとなっており、これらのうち一つでも欠けるとPDSの市場が成長することはできません。

消費者がその利便性を知り、データを提供する組織がデータを戻すことによって得られるメリットを知り、PDSツールを提供する企業と投資家が集まり、「M2M」や「Internet of Things (モノのインターネット) 」や「スマートメーター」などの技術が進歩し、個人情報やプライバシーに関する法律の整備・改正が必要なのです。

以下にとても面白いインフォグラフィックを紹介します(クリックで拡大)。Ctrl-Shift社と有志が作成したもので、2017年までにこれら5つがどのようになっていくのかをインフォグラフィックにしたものです。文字が小さいですが、Ctrl-Shift社に無料登録しログインすると、このページからインタラクティブになったものを見ることができます。 

THE_SHIFT_IN_THE_PERSONAL_DATA_LANDSCAPE

日本ではどうなっていくのか

 まだまだ日本では、VRMもPDSもその存在自体ほとんど知られていません。しかしながら情報処理推進機構(IPA)は早くから注目しており、2010年には「情報セキュリティ技術動向調査」としてPDS(IPAはServiceと定義)を取り上げたり、最近では2012年の8月に「パーソナル情報保護とIT技術の調査」としてPDSについてもさらに深く調査しています。

 前記事にもある通り、政府の動きとしては「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」が始まったばかりで、海外とくらべるとVRMやPDSといった言葉が聞こえるようになるのは、数年は先になるのではと考えています。

この記事の中には聞きなれない言葉など多く出てきたと思いますが、今後はそれぞれにフォーカスした記事も書いていきたいと思っています。

 

様々なパーソナルデータが公開され、自由に分析できる時代がやってくる!? 日本の取り組みとオープンデータ先進国イギリス政府が進める”midata”

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あなた自身の日々の購買データやサービス利用データを自由にダウンロードでき、それらを統合し分析できる時代が来るかもしれないとしたら、皆さんはどのように考えますか?

実は、そう遠くない将来に日本でも実現する可能性があるのです。

今月始め、総務省が第1回「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」を開催しました。総務省といえば、7月の「オープンデータ流通推進コンソーシアム」設立や12月に「オープンデータシンポジウム」の開催を予定しているなど、日本のオープンデータ戦略推進を最もリードしている行政機関の一つです。

「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」の目的は、”個人に関する大量の情報が集積・利用されることによる個人情報・プライバシー保護の観点と、保護できた上でのネットワーク上での利用・流通の促進に向けた方策の検討”となっています。

公開されている資料などには、最初に書いたような具体的なことは全く書かれていませんが、”利用・流通”というキーワードから、オープンデータ先進国であるイギリスで進められている”midita initiative”と同様の動きになる可能性もあるのでは!?と思ったわけです。

オープンデータ先進国イギリス政府が進める”midata”とは?

イギリスは、Open Knowledge Foundationなどの民間からの働きかけや政治的リーダーシップにより、欧州の中で最もオープンデータ活用が進んでいる国の一つです。

そもそもオープンデータは、狭義にはオープン化された公共データを意味することもありますが、Open Knowledge Foundationが今年2月に公開したOpen Data Handbookでの”Openの定義”は以下3つになっています。

  • (望ましいのは)インターネット経由でダウンロードでき、再作成に必要以上のコストがかかってはいけない。また、データは使いやすく変更可能な形式であること。
     
  • 他のデータセットと組み合わせての再利用や再配布ができること。
     
  • “誰もが”利用、再利用、再配布ができること。データの使い道、人種、所属団体などで差別をしてはいけない。例えば「非営利目的での利用に限る」という制限や「教育目的での利用に限る」などの制限も許されない。

よって、広義には民間企業が機械識別可能な形式で再利用可能なデータをインターネット経由で公開すれば、それもオープンデータと言えます。

日本での例としては、Excelファイルではありますが博報堂が今年9月にに公開した、生活者意識の定点観測調査「生活定点」データも、完全にではないですがオープンデータと言うことができるのではないでしょうか。

”open by default”のポリシーが根付いているイギリスでは、民間企業保有データのオープン化に関する戦略が国家レベルで検討されています。

イギリスの行政機関の一つであるBIS(Department for Business, Innovation and Skills)は2011年4月、消費者がより良い選択・取引を行えれば長期的に経済が成長するという考えのもと、Consumer Empowerment Strategyを発表し、4つのセクションの一つ「The Power of Information」の中で、消費者が民間企業の持つ各自のデータ(いわゆるパーソナルデータ)に自由にアクセスしコントロールできるようにと”midata“(マイデータと読む)というプロジェクトが発足しました。

要するに、企業はユーザーの情報を分析し購買行動パターンなどを導き出し、そこから最終的に利益を生み出しているのですから、消費者もそのデータに自由にアクセス出来るようになれば最適な消費活動(例えば携帯料金プランの再検討)ができるようになる、ということなのです。

実はイギリスのデータ保護規制では、消費者が企業保有のパーソナルデータへのアクセスを要求する権利が法的に認められていますが、国民の認知率も高くなく法的拘束力も低いのが現状となっています。

midataプロジェクトには民間企業もパートナーとして参加しており、Goolge、クレジットカードのVisaとMasterCard、ガス会社のBritish Gas、電力会社のEDF Energy、保険のLloyds、携帯キャリアのThreeなど様々な業態の企業や組織がこの取り組みをサポートしています

“midata”によってどのような未来がやってくるのか

イギリス最大で世界第3位(ウォルマート、カルフールに次いで)の小売り企業であるTescoは1,600万人もの会員データを持っていますが、その購買データをショッパーデータ分析のdunnhumbyに売って利益を得ている、という記事が書かれました。

実際には、消費者はデータを収集される代わりにポイントやクーポンという形で還元されているわけですが、そのデータはdunnhumbyを通して匿名化された形ではありますがメーカー企業に販売されている事実は確かにあるわけです。

そんな問題も指摘されていたTescoは今年10月、会員が自分の購買データに自由にアクセス出来るように公開するという“Clubcard Play”という計画を発表しました。

詳細はまだ公開されていませんが、ゲーミフィケーションを取り入れたり、メーカー企業とのコミュニケーションが出来るようなメディアにする計画など、データを公開することによって消費者とのエンゲージメントを高める施策を検討しているそうです。このプロジェクトで働く人材も募集しているなど、今後の動きには注目です。

しかしながら、もちろんサイト上で購買データを自由に閲覧できることも大事ですが、イギリス政府が目指しているのは、各民間企業が機械式別可能なデータを”ダウンロード”できれば、それらを統合し消費行動全体を俯瞰し分析することができ、最終的な国民生活の向上と経済の成長なのです。

恐らく個人でこれらのデータを統合・分析することはできないので、第3者(サードパーティ)の分析プラットフォームへのアップロードが必要になるため、セキュリティ保護をどのようにするのか、ということが最大の問題として議論されています。

日本の総務省による「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」での論議の中でも、今後midataの取り組みが登場してくるのではないでしょうか。

イギリス政府はオープンデータを活用したビジネス(いわゆるオープンデータビジネス)を活性化させるための組織であるODI(Open Data Institute)を2011年11月に設立し、今月にはこのmidataを推進するためのハッカソンである”Midata Hackathon 2012“を開催しました。こちらにどのような案が出てきたかの紹介があります。

 

「ライフログ」という言葉を良く聞くようになりましたが、個人で収集可能なデータは限られており、購買データなどを分析可能な形式に変換することは非常に手間であり困難となっています。

もし、それぞれの企業が購買データやサービス利用データなどのパーソナルデータを自由にダウンロードできるように、もしくはAPIという形でデータを取得できるようになれば、”真のライフログ”が完成するのではないでしょうか。

元Yahoo!とFacebookのビッグデータエキスパートによるスタートアップが提供する、ビッグデータアプリ開発プラットフォーム「 Continuuity AppFabric」

Continuuity AppFabric

 

Continuuityは元Yahoo!のクラウド部門VPだったTodd Papaioannou氏と元FacebookでHBaseエンジニアだったJonathan Gray氏によって2011年に創業されたスタートアップで、約1年間の準備を経て先月、Hadoopベースのアプリ開発プラットフォーム(PaaS)である「Continuuity AppFabric」をローンチしました。

私の知る限り、このようなビッグデータアプリ開発のSDK提供からデプロイ、スケーリングまでサポートするサービスはあまり聞いたことがなく、今月14日に1,000万ドルの資金調達を行ったことを各メディアがこぞって記事(GigaOMTechChrunchForbesVentureBeatThe Next Webなど)にしていることから、その期待度の高さ伺えます。

クラウドアプリプラットフォーム(PaaS)と言えばHerokuGoogle App EngineWindows Azureなどありますが、ビッグデータアプリの開発環境は提供していません。

現在、プライベートベータ版として無料でローカル環境で開発できるEclipse プラグインなどのSDK・ツールを提供するDEVELOPER SUITEと、プライベートクラウド上で同じように開発できるPRIVATE CLOUDがリリースされており、2013年にPUBLIC CLOUDがリリースされることになっています。

ローカル環境であるDEVELOPER SUITEで開発したものであっても、ワンクリックで全てのデータがクラウドに移動させることができるようになっているので、試用からの移行がとても容易になっていることも特徴です。

UIもリッチであることが強みとなっているそうで、先月開催されたStrata + Hadoop World 2012でのTodd Papaioannou氏とJonathan Gray氏のインタビューの中で、少しだけですが説明用にデモ画面を見ることができます。

このようなプラットフォームがこれから更に出てくると、開発者が少人数のスタートアップや個人でもビッグデータサービスを立ち上げることができるようになっていくでしょう。

データ分析アプリ開発という視点からですと、データマーケットプレイスからビッグデータプラットフォームに移行してきているInfochimpsに期待しています。