※追記
残念ながら、2011年12月から有料(1年ごとにライセンス料が発生)となってしまいました。無償版のQlikViewでも使えるバージョンは年額数万円という設定金額ですので、これを高いと見るか安いと見るかは難しいですが、私はこれを払って現在色々と検証しています。
今後、またブログで取り上げようと思います。
以前、NPOがビジネスインテリジェンスを導入するのに最適なBIツールは「Excel 2010」と「PowerPivot for Excel」の組み合わせか、「QlikView」だと紹介しました。
理由としては、直感的でわかりやすいセルフサービスBIを無料(QlikViewはグレーかもしれませんが)で導入することができるからです。
今回、そのBIツールである「QlikView」とQlikView API Connectorの「QVSource」を組み合わせることによって、現時点で最強と言えるソーシャルメディア分析ができる、ということを紹介したいと思います。しかも無料です。
現時点と言っていますが、このQVSourceは開発が始まってまだ数ヶ月で、しかもかなりの速いペースでバージョンアップしているので、今後が更に楽しみです。
QVSourceとは?
QVSourceは、QlikView専用のAPI Connectorです。
QVSourceを開発しているのは、Chris Brain氏(@Qlikster)を中心としたIndustrial CodeBoxという企業(恐らく数人規模)です。2006年にイギリスで創立され、QVSourceやQVExcelなどのQlikViewのアドオンに注力しているようです。どうやらQlikTech社と近い関係にあるようで、恐らく、これらの製品を各企業向けにカスタマイズしたQlikViewインテグレーションのコンサルティングが主な業務のようです。
QVSourceの理念は、様々なソーシャルメディアやビジネスアプリからQlikViewに取り込める形で簡単にデータを取得し、それらをマッシュアップしながら取り込み、QlikViewで誰でも分析ができるような最強のBIプラットフォームにしよう、というものです。
何よりもすごいのがその開発スピードです。まだ開発開始から2ヶ月しか経っていませんが、既に以下のAPIに対応しています。
- Facebook Personal & Facebook Pages
- Google Analytics
- Google Spreadsheets
- Sentiment Analysis
- Twitter Trust and other stat analysis
- OData
- MongoDB
- Solve360 CRM
- FreeAgent
- Yahoo! Placemaker
- Short URL Expander
- Klout
- World Bank
- Factual
NPOのソーシャルメディア分析支援という意味では、本当はFacebook Pagesの紹介をしたいのですが、Facebook Pagesはまだ限られたユーザにしか公開していないそうなので、Facebook Personalを例に紹介します。
Facebook Pagesも近いうちに公開されると思うので、その時にまた紹介します。
無償版QlikViewを入手する
まずはQlikTechの日本語公式HPから無償版のQlikViewをダウンロードし、インストールしましょう。他のBIツールと違い、QlikViewの無償版はトライアルではなく、試用期間もありません。全ての機能を制限なしに使うことができます。
ただ、インストーラーをダウンロードするには個人情報を入れる必要があります。もちろん、その連絡先に営業のメールや電話が来ることもあるかもしれませんので、自己責任でよろしくお願いします。
QVSource(Beta)を入手する
QVSourceはまだベータ版です。HP上から自由にダウンロードできるのではなく、ここ(QVSource Beta Request)からベータ版が欲しいというリクエストをします。
名前やメールアドレスを入力してリクエストを送信すると、24時間以内にQVSourceの最新版ダウンロード先リンクが書かれたメールが送られてきます。私の場合、8時間後ぐらいに送られきました。
送られてきたメールからQVSourceの圧縮ファイルをダウンロードし解凍します。解凍したフォルダはフォルダ内のディレクトリ構成を変えなければどこに置いても構いません。
QVSourceを起動し、データを取得する
フォルダの中に「QVSourceDesktopEdition.exe」という実行ファイルがあるので、これを起動します。初回起動時のみ「End User Licence Agreement」ウィンドウが表示されるので、チェックボックスにチェックを入れ、OKボタンを押します。
今回はFacebookのデータを取得するので、「Facebook Connector」をダブルクリックするか、選んでConfigureボタンを押します。
Facebook Connectorの設定画面が表示されるので、自分のFacebookのAccess Tokenを取得するために「Authenticate」ボタンを押します。
Facebookにログインします。
QlikView Connectorを許可します。
すると、Access Tokenが取得されます。
Connector Dataタブを押すと、取得するデータテーブルの一覧画面があり、それぞれのテーブルをクリックするとデータをダウンロードします。最初のダウンロードには時間がかかります。(アクティブなFriendが多ければ多いほど時間がかかります。)
ダウンロードが完了すると、Dataタブにデータが表示されます。
正直、ここまでデータが取れてしまうのかと驚きました。個人情報がもりだくさんなので、ダウンロードしたファイル(「QVSourceDesktopEdition.exe」があるフォルダの「Data」→「IndustrialCodeBox_FacebookConnector」→「Cache」に保存されています)の取り扱いにはご注意ください。
全てのテーブルのデータ取得が終わったら、分析フェーズに移ります。
データをQlikViewにロードし、データ分析する
通常であればデータのロード処理や分析画面を作成しなければいけません。
しかし、今回は既に完成度の高いFacebook Friend Analyzerと名付けられたデモがあるのでそちらをダウンロードして使います。こちらから、「Download(.QVW)」のリンクをクリックすると、既に分析画面が作成されたQlikViewのドキュメントファイルをダウンロードできます。(※.QVWはQlikViewのドキュメントの拡張子です。)
もし、無償版QlikVeiwのダウンロードを諦めた方がいたら、「Launch This Demo」ボタンか「Web Browser(AJAX)」のリンクをクリックすると、サンプルデータで作成されたデモをブラウザ上で操作できます。
ダウンロードした「Facebook Friend Analyzer.qvw」を実行すると、自動的にQlikViewが立ち上がり、上記のブラウザで見るデモと同じものが表示されます。
それでは、自分のデータをロードしてみましょう。データのロード元は既にQVSourceが設定されているので、このままロードすれば自分のデータに更新されます。
なぜか、デモの地図の縦横の長さがちゃんと設定されていないので、以下に修正してロードすると良いです。 ツールバーから[ファイル ]→[ロードスクリプトの編集]を実行し、「HomeTownGeoCode」と「Checkins」タブにある”geo_map_size_x”(横の長さ)を修正します。
それではロードします。ツールバーから[ファイル ]→[リロード]を実行するか「Ctrl+R」のショートカットを使うと、ロード処理が始まります。
ロードが終了すると、「閉じる」ボタンがアクティブになります。それでは、分析結果を見ていきましょう。
操作方法については割愛しますが、シート左側にあるリスト項目を選択したり、チャートを選択範囲することによって絞り込みなどをすることができます。それらの選択を全てクリアするためには「Clear」ボタン を押します。これだけわかれば、ある程度いじれると思います。
- Friends シート
友達の属性分析ができます。
デモでは基本的に性別を分析軸に持ってきています。
- Groups シート
友達が所属しているグループについて分析できます。
私が知るかぎり、友達が所属しているグループって見ることができなかった気がするんですが。
- Likes シート
友達が「いいね!」しているFacebookページについて分析できます。
私の場合、ある一人の男性がすごい「いいね!」をしているので、男女比の割合が極端になっています。その場合、その男性を除いた分析というのも簡単にできます。
- Pages シート
Facebook全体の「いいね!」と友達の「いいね!」を比較分析できます。
- Status シート
友達が「今なにしてる?」にどれだけ書き込んだかを分析できます。
ここでも一人の男性がすごい更新数であることがわかります。もっと左下の方がどうなっているか見たい場合は、散布図上で範囲指定をドラッグ&ドロップするだけで絞り込みができます。
- Check Ins シート
友達がいつ何のアプリでどこにチェックインしたかを分析できます。
Foursquareのデータもマッシュアップできるようになれば、もっと色んな分析ができるようになりますね。
いかがだったでしょうか。このデモで出来ることは、取得したデータに比べれば本当に極一部です。QlikViewの画面作成の仕方を覚えれば、もっと詳細な分析ができるようになります。
今のところ1つ改善点があるとすれば、このデータを差分更新できないことです。もし最新のデータを分析したい場合、Facebook Connectorからキャッシュを一度削除してから、再度全てのデータをダウンロードする必要があります。
今後について
今回はFacebookのみのデータを使用しましたが、今後は複数のAPIをマッシュアップすることによって、様々な分析ができるようになるでしょう。例えばTwitterとKloutの組み合わせなど(既にデモがあります→ここ)。
そして、様々なデータの統合・分析という点で、やはりBIツールは優れています。私の場合は、データ分析に予算を割けないNPOなどの組織にBIを導入したいという思いがあるのでQlikViewを使いましたが、最近のBIツールはどれもセルフサービス指向になってきているので、どのBIツールでもよいと思います。
QVSourceは短期間でどんどんアップデートされているので、気になるアップデートがあった場合はTwitterで随時報告していこうと思います。
今回の記事で興味を持ったNPOの方で、もっと詳細を聞きたいという方がいましたら、プロボノで出来る範囲でしかお役に立てませんが、遠慮なくご連絡ください。