データジャーナリズムから学ぶ、データからのストーリーテリング。データジャーナリズムに関する初めての教科書「Data Journalism Handbook」がリリース!

 

下記のITジャーナリストの佐々木俊尚さんの以下のツイートや、Wired.jpでのジャーナリストの津田氏による発言などにより、データジャーナリズムは欧米だけでなく、日本でも次第に知られるようになってきています。

 

前記事の日本版Data.govが2013年度に公開されれば、データジャーナリズムは更に日本で一般的になるでしょう。

データジャーナリズムはいつ生まれ、どのような経緯でここまで一般的な言葉になったのか、簡単に調べてみました。

 

以下はGoogle Insights for Searchで「Data Journalism」と「”Data Journalism”」を検索してみたものです。2008年7月と2010年8月に何かのきっかけがあったことがわかります。 

この2つの違いは、前者が”Data”と”Journalism”の語順などは関係なしに検索された場合で、後者が”Data Journalism”という一つの言葉として検索された場合です。要するに、前者は「ジャーナリズムとデータに関連すること」が検索されており、後者はデータジャーナリズムそのものについて検索されているものになります。

ということは2008年7月に、「ジャーナリズムにデータが必要だという何かのきっかけ」があり、2010年8月に「データジャーナリズムという言葉が広まったきっかけ」があったのではないかと考えました。

 

GeekによるジャーナリズムへのITの応用

まず、2008年7月に何があったのでしょうか。

元々はWeb Developerであり、2005年にGoogle Mapとシカゴ警察の犯罪データをマッシュアップしたサイト『chicagocrime.org』をローンチし、2005年の「 Batten Award for Innovations in Journalism」を受賞したAdrian Holovaty氏がinternal Guardian conferenceで以下のようなスピーチを行なっていたことがわかりました。

@ Future of Journalism: Adrian Holovaty’s vision for data-friendly journalists

データジャーナリズムという言葉はこの記事には出てきていませんが、「未来のジャーナリズム」と題して、データ志向のジャーナリスト「データジャーナリスト」について公共データにも触れながら語っています。

オープンガバメントの重要性についてはそれ以前から語られていましたが、特に政府・行政の保有するデータ公開の重要性については、この記事を書いているthe Gurdianは2006年からキャンペーンを行なっていた(参考記事)そうで、恐らくこのスピーチが「ジャーナリズム×オープンデータ」について広まったきっかけだったのではないかと推測します。

 

TED × データジャーナリストのDavid McCandles氏

そして「データジャーナリズムという言葉が広まった」2010年8月には何があったのでしょうか。

恐らく、データジャーナリストとして著名なDavid McCandless氏によるTEDでのスピーチ「The beauty of data visualization」により、情報の可視化がジャーナリズムにも必要だということを広めるきっかけとなりました。(日本語字幕もあります)

時折ユーモアを交えながら、大量のデータから重要な情報を抜き出し可視化をして伝えることの重要性を、例を交えて説明されています。

David McCandless氏はスピーチの始めに次のように述べています。

情報の可視化は重要なパターンや関連を見えるようにし、情報にデザインを与えることで意味が引き立ち、ストーリーが伝わり、重要な情報だけに集中できるようにする。

大量データの時代にあり、ビッグデータからどのように有意な情報を発見するか、という話題ばかり出ていますが、その情報から何が言えるのかを説得力を持って説明するためには、インフォメーションデザインは大事なスキルであると言えます。

動画を見る時間がない方は、こちらに動画に使われた画像とともにスピーチが日本語訳されたものがあるのでどうぞ。

 

「Data Journalism Handbook」がリリース!

そして、2011年12月から今日までグラフは急上昇し続けています。

以下2つの出来事もその要因であると思われます。

1つ目がGoogleが協賛しているGlobal Editors Networkによるデータジャーナリズムコンテスト「Data Journalism Award」の開催です。ジャーナリズムのニューカマー・新組織の発掘を目的として2011年12月に概要が発表され、4月27日に58のノミネートプロジェクトが発表されたばかりです。

そして2つ目が、今記事の目玉となる「Data Journalism Handbook」が作られるきっかけとなったMozilla Festival 2011の開催です。

データジャーナリストのリーダーが多数所属しているOpen Knowledge Foundationと欧州ジャーナリズムセンターのメンバーが、データジャーナリズムについての教科書である「Data Journalism Handbook」の作成を発表しました。これまでデータジャーナリズムに関する書籍はまだなく、データジャーナリズムの基本から学べる初めての書籍となります。

書籍は2012年4月待つに行われるInternational Journalism Festivalでリリースされ、後にWeb上で無料公開されることになりました。

[vimeo width=”550″ height=”400″]http://vimeo.com/31940484[/vimeo]

 

そして昨日、予定されていたとおりData Journalism Handbookインターネット上で無料公開されました。e-book形式で、改定される度にアップデートされるので、是非登録もされておくことをオススメします。

e-bookだけでなく、紙の書籍もO’REILLYから5月に出版され、O’REILLYAmazonでも予約が始まっています。

 

様々なデータが入手できる今、情報が多い分、報告書に全てを盛り込みたくなる気持ちは理解できます。分厚い報告書を前にして作成者は満足感を得られるかもしれません。しかし、本当に大事なことはそれらのデータから何が言え、どうするべきなのかということです。

おそらく、報告書にはサマリーとしてそれぞれの調査結果から言えるポイントを列挙しているでしょう。しかし、そのポイント同士を繋げ線にしなければ結局その報告書から何が言えるのかがわかりません。そこでストーリーテリングの要素が必要になります。

ジャーナリストでなくとも、様々な調査結果などから報告書を作成する機会のある社会人の方々は、「Data Journalism Handbook」でデータからのストーリーテリングを勉強してみてはいかがでしょうか。

 

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