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あらゆるNPOにビジネスインテリジェンスを

 

 

このブログや私がプライベートで行っているプロボノの目的の一つに、NPOなどの非営利組織にもビジネスインテリジェンスを導入することがあります。しかし、実際には2つの大きな問題があります。

  1. BIツールの導入費用は高く、無料期間があっても30日などで長く使えるものがない

    日本語化されているようなメジャーなBIツールを導入しようとする場合、初期費用だけで数百万、そして毎年のランニングコストもかかります。NPOなどの非営利組織にはデータ分析のためにそのような資金を捻出する余裕はありません。一応無料期間を設けているBIツールもありますが、ほとんどが30日間で長く使えず、機能限定版として安価で提供されているものもありません。

    最近はBI分野にもベンチャーが出てきていてかなり安価なものも出始めているので、今後このブログで紹介しようと思います。

  2. オープンソースのBIツールはSelf-Service BIとは言えないほどITの知識が必要

    Pentaho、Jaspersoft、SpagoBIなどのBIツールは、お世辞にも簡単に誰でもデータ分析ができるとは言えません。レポーティング画面を作成することはもちろんですが、BIツールに取り込むデータをETLツールなどで加工したりと事前の作業も必要になります。大規模なNPO組織の場合であればIT担当者もいると思いますが、その他多数の組織はPCやインターネットに詳しい人がいたとしてもプログラムを書けたりデータのことをわかっている人がいることは稀でしょう。

以上が、プロボノとしてどのようにBIをNPOに広めていけばいいのか悩んでしまう原因です。

 

恐らくBIの入門としては、Microsoft Office Excel 2010がインストールされたPCを持っていること前提ですが、Excel 2010PowerPivot for Excelの組み合わせが最適だと思います。理由は以下です。

  • ”無料”でExcelのプラグインとしてインストールできる
  • ほとんどの人はExcelを使った経験があるので、操作になれている
  • データのリレーションを作成したり様々な集計を行う際にはDAX(Data Analysis Expressions)という言語を使う必要があるが、Excelの関数(sumなど)を使ったことがあればそれほど難しくない

どんなことがどのように出来るのかは、以下のMicrosoftのサイトがわかりやすいです。
Self-Service BI 体験サイト

 

もう一つ注目しているのは、QlikViewというBIツールを提供しているQlikTechの動きです。2010年2月に、「Change Their World」という活動を始めました。これはヘルスケア、環境問題、人道支援などを行うNPOなどの組織を支援するプログラムで、助成対象の組織にはユーザーライセンス、ユーザートレーニング、ホスティングサービスなどが無料で提供されます。

QlikTechの日本語サイトにも紹介されていて、この「Change Their World」 助成プログラムに申請することも可能です。
Change Their World(日本語)

しかし実際に助成プログラムが採用されている組織はまだ少なく、しかもどこも規模が大きい組織なので採用基準はかなり高いと思われます。現在、採用されているNPOなどの組織は以下のようなものがあります。

  • Circle of Blue
    きれいな淡水源の減少危機をレポートするジャーナリストや科学者の国際的ネットワークです。WaterViews(デモ有り)と23カ国での活動報告書の作成にQlikViewを使用します。
  • Plan France
    開発途上国の350万の家族の貧困解決や子どもの権利促進の活動行う組織です。プロジェクト・リソース管理のためにQlikViewを使用しています。

  • Doctors Without Borders Sweden
    スウェーデンの国境なき医師団です。簡単に正しいドナーセグメントへのターゲットができるようになること、そしてフィールドへ送るお金のオーバーヘッドコストを削減するためにQlikViewを使用しています。
  • AIDS Accountability International
    世界的な製薬企業が参加している抗エイズ薬供給推進イニシアティブです。これまで不足していたステークホルダーへ透明性という問題に対して、データを統合して簡単にアクセスできるようにし、コミットメントが達成されているかを伝達できるようにするため、QlikViewを使用しています。
  • The Church of Sweden
    スウェーデンで最大のキリスト教会で、ACTアライアンスのメンバーとして貧困や不平等に対する人道支援活動をしています。ドナーのデータベースの解析から深い洞察を得て、募金活動の効率性を高めるためにQlikViewを使用しています。
  • The Honeynet Project
    ハニーポットを使ってインターネット上の攻撃手法などを研究するプロジェクトです。悪意のあるボットやマルウェア、ウェブ上のデータを視覚化し、迅速に攻撃とその発信元のIPアドレスを特定するためにQlikViewを使用しています。
  • The Microfinance Information Exchange, Inc.
    マイクロファイナンス機関の財務や社会的な成果を投資家やマイクロファイナンス機関に情報提供しています。もともとデータ活用がされている組織ですが、ユーザーがより良いデータ視覚化をできるようにし、より柔軟なデータ操作のオプションを提供するためにQlikViewを使用しています。
  • Norwegian Computer Society
    ノルウェーのITプロフェッショナルが集まったNPOです。500人のIT戦略の愛好家が60人のコミュニティに分かれて活動しています。マネジメントレポートの作成や分析ツールとしてQlikViewを使用します。

    ※QlikTechはスウェーデンに本社があるため、北欧の組織が多いのだと思います。

 

6月2日には、研究とITを統合してヘルスケア向上を目指しているCenterstone Research InstituteというNPOが「Change Their World」プログラムでQlikViewの利用拡大することが発表されました。

実は、このQlikViewは実際の製品と同じ機能を持つ(機能制限がない)トライアル版があり、期間に制限がありません。企業・組織情報を入力しないとダウンロードできないので、営業の連絡がかかって来るかもしれないため「絶対にオススメ」とは言えないのですが、もし真剣にデータ活用を考えている組織の方であれば、試してみてください。私も実際にQlikViewを使ったことがありますが、Self-Service BIと言えるほど簡単に画面構築することができます。


最後に

今のところ、最初の2つの課題を解決できるBIツールは、「Excel 2010とPowerPivot for Excel」もしくは「QlikView」だと思っています。もしNPO関係者でデータの活用方法に困っている、「Excel 2010とPowerPivot for Excel」もしくは「QlikView」を活用してみたいという方がいましたら、TwitterもしくはFacebookでご連絡ください。プロボノとしてなので時間に限りはありますが、ツールの紹介と実際にデータ活用環境構築デモができたらと思っています。

もし他の企業でNPOへのBI支援を行っているところをご存じの方がいましたら、ご連絡ください。よろしくお願いします。

このブログについて

当ブログ「BI for everybody.」は以下2つの目的で開設しました。

  • 国内外のBI(ビジネスインテリジェンス)に関する最新の情報を集める

BIに関する仕事を始めてから、BIに関する情報を集めようとしても、
海外はおろか国内のBIに関するニュースに絞って取り上げるサイトやブログがありませんでした。

BIについてのニュースを、時々発信するサイトを定期的にチェックするのも手間がかかりますし、
海外のBIニュースは全くといっていいほど入ってきません。

そこで、当ブログから国内外の最新BI事情を発信していきます。

  • BIをさらに幅広い人に知ってもらって、使ってもらえるようにする

BIツールは金額的なハードルが高く、データ分析専門の人が使い、
中・大企業しか導入できないイメージがあります。

実際に有名なBIツールは導入費用が高く、零細企業や(設立したばかりの)ベンチャー、
NGO/NPOなどのような組織がデータ活用のためにBIツールを導入することは、
金銭的に非常に難しいです。

しかし、最近ではBIが一般的になり、
オープンソースや安く提供しているベンチャーが出てきています。

また、BI業界の最近のキーワードは「セルフ(サービス)BI」で、
誰でも使えるBIを目指すBIベンダーが増えていることも、
今後、BIの間口を広めることになると思っています。

そこで、当ブログでは様々なBIツールやその使い方などを紹介していきます。

更新頻度はあまり高くないかもしれませんが、
長く続けられるように頑張ります。

よろしくお願いします。